所蔵文化財ギャラリー

所蔵文化財『能装束』 一覧(抜粋)

谷家には、現在確認できる限り総計83件の能装束類が収蔵されている。その内訳は、狩衣4領、法被2領、側次1領、水衣13領、長絹3領、厚板3領、熨斗目4領、着付1領、唐織2領、縫箔2領、摺箔5領、大口5腰、半切5腰、角帽子1頭、鬘帯9筋、腰帯16筋、紐2件(19本)、数珠4連、前立1個である。

形状による装束の種類としては、狩衣・法被・側次・水衣・長絹といった「大袖もの」、厚板・熨斗目・唐織・縫箔・摺箔といった「小袖もの」、大口・半切の袴類、鬘帯・腰帯などの帯紐類、被りものなどが幅広く収蔵されている。

また、役柄による分類では、男役の装束である狩衣・法被・側次・厚板・熨斗目・半切、女役の装束である長絹・唐織・摺箔・鬘帯、男女役共用の水衣・大口など、各種を網羅している。

以上のように、装束の種類は、形状による分類からも、役柄による分類からも多種類にわたっており、偏りのないその内容は資料として重要である。

作品の制作年代に関しては、全体の四分の一強が江戸時代にかかる作品であり、特に長絹、側次はすべて江戸時代、また大口、狩衣も江戸時代の作品が大多数を占める。そのほか腰帯・鬘帯にも江戸時代の作品が含まれる。

現在、江戸時代の能装束を市場で購入し収集することはほとんど皆無であり、そうした意味で、18世紀の作品をも含むこれら江戸時代の作品には、大きな希少性が認められる。

なお、谷家所蔵の能装束全点が、能の名家手塚家に伝来したものであり、由緒を明らかにしている点でも貴重である。

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